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ゴッホの死後の作品の評価

ゴッホの絵と聞けば何億円、いや何十億円と想像するだろう。現代では間違いなく巨匠の一人となったゴッホであったが生前に売れた絵はたった一枚であった。(生前に唯一売れた作品参照

ゴッホが自殺して以降ほとんどの作品は弟テオの元に残された。そのテオも半年後に病死(ゴッホの唯一の理解者 弟テオ参照)し、作品はテオの妻ヨハンナ(通称ヨー)が管理することとなった。

しかし、そのたった数十年後1枚数百万円の値がつくようになる。
その裏にはヨーやゴッホの友人の尽力があった。

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赤いブドウ畑
「赤いブドウ畑」1888年11月 アルル
アイリス
「アイリス」1889年5月 サン=レミ

1891年〜1900年

自殺したのは1890年7月末であるが、生前はまったく見向きをされなかったわけではない。先述したとおり1890年にパリで開かれたアンデパンダン展1884年以降に開催されている自由出品の美術展。国が開催する審査や褒章があるサロンに対抗して開催された。で1枚売れており、さらに1889年度のアンデパンダン展の出品作品はフランスの絵画評論家アルベール・オーリエや印象派の巨匠モネに高く称賛されている。

ちなみにゴッホは1889年度のアンデパンダン展に右絵の「アイリス(イチハツ)」を出品している。アイリスとは和名アヤメのこと。

テオを亡くしたヨハンナは金銭的な状況からフランスを去り故郷のオランダに戻らざるをえなかった。しかしゴッホの友人の中でもっとも手紙のやり取りをしていたエミール・ベルナールゴッホがパリで知り合った画家参照)が1893年に芸術作品広報誌メルキュール・ド・フランスに書簡を公表した。ゴッホ独自の色彩理論や作品に対する想いなどが公表されたことで『孤高の画家の自殺』として徐々に大衆に広まっていったのである。しかし、まだまだ取引価格は低くヨーは生活のために1点200〜300フラン(約5万円〜8万円程度)で売却していた。

1901年〜1910年

20世紀に入るとパリの芸術運動はますます盛んになり(アール・ヌーヴォー広義的には19世紀末から20世紀初頭の芸術運動を指す。狭義的には植物や曲線などの装飾を施された様式のこと。)、美術界は大きな活況となった。それが後押しとなり各地で展覧会が開かれ、ゴッホ作品もエミール・シェフネッケルら友人たちの尽力によって回顧展を数度開催した。アール・ヌーヴォーの影響で世界各国から若手画家たちが集結(エコール・ド・パリパリの芸術運動に刺激されて世界各地から若手画家がパリに集結した。その画家たちの総称でその中には現代美術の祖であるマティスやピカソなどがいる。)し、この回顧展を訪れたフォーヴィズム赤や黄、緑など原色を多用した制作主義。荒々しいタッチが特徴でそれがフォーヴ(野獣)の語源となる。代表画家にマティス・ルオー・ヴラマンクなど。のアンリ・マティスやモーリス・ド・ヴラマンクが大きな影響を受けたといわれている。

さらにベルナールやヨハンナが相次いでゴッホの書簡集を発表・出版し、またたくまにそれが拡がった。価格も徐々に高騰し1点約1万フラン(約300万円)まで高騰した。

1911年〜1930年

ガシェ医師の肖像
「ガシェ医師の肖像」1890年6月 オーヴェル=シュル=オワーズ

作品が高騰するにつれ、いずれ相続する息子には莫大な相続税がかかることからオランダ国家に寄贈することとなった。これがゴッホ美術館の原型となる。また書簡集を基にアルルやオーヴェルで取材を行うゴッホ研究家たちが現れ、ゴッホの人生を『孤高の天才画家』『情熱の画家』として神格化したのもこの頃である。

1931年以降

小説家アーヴィング・ストーンが「炎の人ゴッホ」の伝記を発表。全米でゴッホの名が知られ世界中に広まった。1955年には「炎の人ゴッホ」が映画化されトップセラーになる。主演カーク・ダグラス演じるゴッホがカラスが飛ぶ麦畑の中で作品を描きあげた後、ピストル自殺するシーンはあまりにも有名である。

市場価格もモネやルノワールを凌駕するほどに高騰する。そして1987年に「ひまわり」、そして1990年に「ガシェ医師の肖像」を約124億円の当時の歴代最高落札額で日本人が落札したことで日本でもますますゴッホ人気は高まった、

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ゴッホの生涯の考察

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ゴッホ.jp管理人 Yoshiki.T

ゴッホの筆致に魅力され独学で研究。大阪でデザイン事務所を経営する傍ら、ゴッホが関連する企画展は日本中必ず観に行く。国内のゴッホ研究の第一人者大阪大学教授圀府寺 司教授を尊敬している。おすすめはひろしま美術館の「ドービニーの庭」

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