「ひまわり」や「夜のカフェテラス」などで有名なフィンセント・ファン・ゴッホの考察サイト。

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「ひまわり」を使ったゴッホの構想

12輪と15輪の「ひまわり」は5点制作されている(代表作「ひまわり」は複数あった!参照)。

「ひまわり」はゴッホにとってもっとも思い入れの強いモティーフだが、「ひまわり」をテオに渡したあとゴッホの構想を簡単なイラスト付きでテオに伝えている。それには額縁の色まで指定されていていかにゴッホが色彩の関係性に着目していたかがわかる。

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ゴッホの構想【三幅対】とは?

三幅対のスケッチ
「三幅対の構想」1889年5月 サン=レミ

わきまえてほしいのだが、こんな風(右図)な配置で「ラ・ベルスーズ」を中央に、左右に「ひまわり」を置けば一組の三幅対になる。
また、そうすることで頭部の黄色とオレンジの色調が黄色の両翼の隣でいっそう輝きを増す。

1889年5月22付のテオ宛への書簡の一部である。

「ラ・ベルスーズ」とは「子守女」のことでこの女性のモデルはアルル時代の一番仲の良かった郵便局の事務員ジョセフ・ルーランの妻である。この作品を描いた頃、子どもが産まれたばかりであった。どの「ひまわり」を使用するか明言されていないが、「黄色の両翼」とあるので黄色に黄色を重ねた「ひまわり」の可能性が高い。実際に「三幅対」を作ってみると

ひまわりラ・ベルスーズ(子守女)ひまわり

さらにゴッホは「中央(ラ・ベルスーズ)の額縁は赤で左右(ひまわり)の額縁は濃い緑だ」と指示している。すなわち「ラ・ベルスーズ」の洋服の緑色は左右の「ひまわり」の額縁の緑と呼応し、「ひまわり」の黄色は「ラ・ベルスーズ」の頭部の黄色と呼応する。さらに中央の額縁が赤色にすることで左右の額縁と「ラ・ベルスーズ」の洋服の緑色が補色となりより一層際立つ、ということであろうか。

世界中に散った「ひまわり」

「ひまわり」は複数あってこそ真の価値が発揮できる。現在ヒマワリは、ドイツのミュンヘン、イギリスのロンドン、日本の東京、オランダのアムステルダム、アメリカのフィラデルフィアと世界中にばらばらになっているのはなんとも皮肉なことである。

ゴッホの生涯の考察

もっとゴッホを知りたい方へ

ゴッホ.jp管理人 Yoshiki.T

ゴッホの筆致に魅力され独学で研究。大阪でデザイン事務所を経営する傍ら、ゴッホが関連する企画展は日本中必ず観に行く。国内のゴッホ研究の第一人者大阪大学教授圀府寺 司教授を尊敬している。おすすめはひろしま美術館の「ドービニーの庭」

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